浜厚真駅

消えゆくダルマ駅:北海道

浜厚真(はまあつま)は不思議な駅だ。周辺に住宅などがほとんど見当たらないわりに、利用者はそこそこいる。Wikipediaによれば、近年は1日あたり20人ぐらいの乗車人員があるようだ。

壁面の絵は地元の小学生のアイディアを基にしたものらしい。だいぶ錆が浮き出てしまっているが
ホーム側から撮影。壁面の絵は片側だけだった

 

基本情報

□駅名  浜厚真(はまあつま)
□路線  JR北海道 日高本線
□所在地 北海道厚真町浜厚真
□マップ

□撮影年月 2025年11月

 

浜厚真駅は700mぐらい南に海岸があり、海浜公園やオフロードパークがある。一方、小学校やコンビニがある地区(上厚真)は北方向に5kmぐらい離れている。厚真町役場や高校がある町の中心はさらに内陸だ。駅名に“浜”が付いているのももっともだ。

バスは浜厚真駅終着が1日に2本、始発が1本だけ。多くの利用者は家族のクルマで送迎されているのだろう。

ではなぜここに駅が作られたのか。どうやら日高本線と並行して駅前を通る道が、以前は国道235号だったらしいのだ。そのころには駅周辺にも多くの住宅や商店があったのかもしれない。

駅前の道。今は直線で700mほどの長さしかなく、通るのは駅に用事があるクルマぐらいだろう
ホームから苫小牧方を望む。この先は発電所やプラントと草地がずっと広がる
右にある一角は、以前トイレだったのだろうか? 左上に「当駅にトイレはありません。」とわざわざ書いてあることから推測したのだが…
車掌車を使ったダルマ駅の中では珍しく、両サイドのデッキが両方利用でき、入口も室内の両側にある
誰もいない静かな駅を味わっていたら、若い男性3人が自転車で駅にやってきた
駅舎の塗色に負けない、カラフルな列車がやってきて、3人は列車に乗り込んだ
列車は苫小牧に向けて去り、また静かな駅に戻った。夕暮れの風がくさはらを吹き抜けていく

 

日高本線は、苫小牧(とまこまい)から、鵡川(むかわ)、静内(しずない)、浦河(うらかわ)を通って様似(さまに)までつながっていたが、2021年3月に鵡川-様似間が廃止された。それに伴って4つのダルマ駅が廃駅となり(Googleマップのストリートビューを見ると、2024年7月時点ではまだ駅舎がある)、浜厚真駅だけが現役ダルマ駅として残った。

全長146.5kmだった路線が30.5kmとぐっと短くなり、収支は改善したものの、それでも輸送人員はあまり多くない。日高本線がすべてなくなることがあるとしても、せめて浜厚真駅はその日まで存続してほしいと願う。

 

※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

 

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