
消えゆくダルマ駅:北海道
宗谷本線の問寒別(といかんべつ)駅には活気が感じられる。その一番の理由は、駅舎を覆う金属の波板のオレンジ色だろう。

さらに赤いポスト(駅前にあるのは珍しい)、そしてその向こうに見えるトイレも“現役感”に役立っている。

駅周辺も、ほかの駅に比べると多少にぎやかさがある。小中学校、町民プール、駐在所、郵便局、スーパー(Qマート)、ゲストハウス、北海道大学の研究施設(森林圏ステーション)などがある。だからといって、駅の利用者数が多いわけではないのだが…。

□駅名 問寒別(といかんべつ)
□路線 JR北海道 宗谷本線
□所在地 北海道幌延町問寒別
□マップ
□撮影年月 2025年9月
この数年、ほかの自治体と同じように幌延町も「利用者数の少ない駅の存続」に頭を悩ませてきた。「廃止か、自治体が維持管理するか」という選択を迫られたからだ。
細かい検討内容やJR北海道とのやり取りなどはわからないが、結果として、2021年から2025年までに、幌延町にある8駅のうちの4駅、具体的には、雄信内駅(おのっぷないえき)、安牛駅(やすうしえき、この駅もダルマ駅)、南幌延駅(簡易駅)、上幌延駅(ダルマ駅)が廃止された。
また自治体が違うが(中川町)、問寒別駅と天塩中川駅の間にある歌内駅(この駅もダルマ駅)も2022年に廃止された。

その結果、2025年11月現在幌延町内の駅は、問寒別駅、糠南駅、幌延駅、下沼駅が残っている。小さな市街地がある問寒別は別として、ほぼ利用者がない糠南と下沼がなぜ残っているのだろうか。
幌延町のWebページ「幌延町内における宗谷本線「極端に利用の少ない無人駅」に係る町方針について」(アーカイブ)によると、
・問寒別駅:市街地を形成していること
・糠南駅:秘境駅等鉄道系資産によるまちおこしの象徴的存在であり民間有志による大規模イベントも開催されていること
・下沼駅:サロベツ湿原等観光資源の玄関口として活用度が高いこと
と説明されている。
糠南駅はホームが板張で駅舎のない「簡易駅」で、周囲にほとんど何もない「秘境駅」が価値として認められたということだ。函館本線の小幌駅と同様の扱いと思われる。
ちょっと寄り道をしたが、問寒別駅を探索しよう。






駅舎は、その土地の歴史をとどめる小さな資料館としての役割もあるのだ。
※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

