恵比島駅(廃駅)

消えゆくダルマ駅:北海道

ドラマや映画の舞台となった駅は、その後もしばらく脚光を浴び続けることがある。

留萌本線の恵比島(えびしま)駅もその一つで、1999年に放送されたテレビドラマ(朝ドラ)「すずらん」の撮影に使われた。「すずらん」では架空の「明日萌驛」(あしもいえき)として設定され、古いイメージの駅舎を新たに建設。

この駅舎は撮影のために建てられた。近くには「駅長の家」も造られたほか、駅向かいの旧旅館も撮影用に改修した
既存のダルマ駅舎は現用として使い続ける必要があるので、古い建物に見せるために木の板で覆われた。屋根が貨車(車掌車)特有の曲線を描く不思議な形の建物で、ドラマを見て「なんだろう?」と気になった人もいたのでは

 

基本情報

□駅名  恵比島(えびしま)
□路線  JR北海道 留萌本線
□廃止  2023年4月
□所在地 北海道沼田町恵比島
□マップ

□撮影年月 2025年9月

 

ドラマ放送終了後も明日萌駅舎や旅館は内部公開されていたが、2023年3月に留萌本線の石狩沼田-留萌間が廃止となり、あわせて恵比島駅も廃止された。それに伴い、明日萌駅舎内部には入れなくなったが、2025年現在ダルマ駅舎の通路を通ってホーム跡に出ることはできる。

ダルマ駅舎はすでに封鎖されていて、何も残っていない
通路(デッキだった部分)を通って、ホーム側に出ることはできる
ただし柵があり、行けるのは明日萌駅舎の周辺だけ
ホーム側から見た明日萌駅舎。中にはドラマ主人公を模した人形が今も置かれている。駅名板は新しめの明日萌駅と古めの恵比島駅と、なぜか新旧が反対
さらに進むと、ホームに立つ明日萌駅駅名標がある。入れるのはここまで

ドラマが放送されて26年が経ったし、駅も廃止されて入れる場所も少なくなった。だが、2025年のゴールデンウィークには、「明日萌駅ロケセットの開放」イベント(沼田町主催)が行われるなど、まだ明日萌駅は健在で、それに伴って恵比島駅のダルマ駅舎も生き残っている。

沼田町営バスの停留所は「恵比島駅前」のまま

道路の案内標識にもまだ「←恵比島駅」が残っている。ランドマークとしての「駅」は、そんなに簡単に消えるものではないのだ。

 

※「ダルマ駅」とは、使わなくなった貨車(有蓋車、冷蔵車、車掌車など)を改造した駅舎の呼び名の一つ。車輪や連結器などを取り外し車体だけになった様子が、手足のない置物のだるまに似ていることが由来。

 

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